産業廃棄物処理運搬業許可とは?
産業廃棄物処理運搬業とは、事業活動に伴って排出される廃棄物を収集し、適切に処理施設や廃棄物処理業者へ運ぶ仕事をさします。
具体的には、企業が排出した産業廃棄物(例えば、製造過程で出る廃材や汚泥など)を専門の車両で集めて運ぶ役割を担っています。
廃棄物処理法で定められた20種の産業廃棄物を収集し運搬を行うために必要となる都道府県知事が出す許可を産業廃棄物処理運搬業許可といい、この許可を取得しないと事業することができません。
そこで、産業廃棄物処理運搬業許可を取得するための手続きの流れやポイントを解説します。
廃棄物の種類
廃棄物を分類すると下記のようになっています。
今回許可が必要になるのは、一番上にある産業廃棄物のうち事業活動に伴って生じた廃棄物です。
さらに詳しくした表が下記になります。
産業廃棄物の具体例
産業廃棄物のうち、「汚泥」や「廃油」、「ゴムくず」など、12種類はどんな事業活動でも排出された時点で産業廃棄物として取り扱われます。
下の「紙くず」や「木くず」「繊維くず」など、7種類は特定の事業活動(建設業や畜産農業など)から排出されると産業廃棄物として取り扱われ、それ以外から排出されたものは一般廃棄物として取り扱われます。
よってこれらに許可が必要になります。
一般廃棄物の収集・運搬には「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要になりますので、そちらについてはまた後日取り上げます。
許可のポイント
申請手続きには一定の費用や書類提出が必要になり、許可が交付されるには厳格な審査が行われます。
今回は、産廃収集運搬業許可(積替え又は保管なし)の新規申請の場合について見ていきます。
許可の区分
・収集運搬業を松山市内のみで積卸しを行う場合・・・松山市長の許可
・上記以外・・・愛媛県知事の許可
愛媛県内で産業廃棄物の積卸しを行わず、他県から他県へ、愛媛県を通過するだけの場合は許可が不要です。
→→ 産業廃棄物の積み場所と、降ろし場所を管轄する自治体が異なる場合は、それぞれに申請し許可が必要になります。
有効期限
産業廃棄物収集運搬業許可の有効期限は5年間です。その後も事業を継続する場合は、許可更新手続きが必要です。
許可を受けた後、事業範囲を変更する場合にも変更の許可を受ける必要があります。
(新規)81,000円 (更新)73,000円 (変更)71,000円 | 申請手数料
取扱品目を追加したり、積替え保管に変更すると手続き費用が発生するので、事業計画をしっかり決めておくことが大切です。
許可に必要な要件や手続き
1.講習会を受講し、修了証を所有している
日本産業廃棄物処理振興センターが行う講習会を受講し、試験を合格した後発行される修了証が必要になります。
講習会は対面式と、オンライン形式が選べますが、オンラインでも試験は会場で受ける必要があり、席に限りがあるので早めに申し込むことをおすすめします。
下記のリンクからご確認できます。
講習会・研修会 | 日本産業廃棄物処理振興センター (jwnet.or.jp)
2.経理的基礎を有している
経営的基礎は、利益が計上できていて、債務超過ではないことをいいます。
事業を継続してくだけの財務基盤があるかということを書類として提出します。
具体的には、直近3年分の決算書 (賃借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)や納税証明書で証明します。
事業開始後3年に満たない場合にも、理由書等の追加資料を提出することで申請可能です。(要相談)
3.事業計画
事業の全体計画として、下記のような内容を計画して、書類の提出が必要です。
・取り扱う産業廃棄物の種類及び運搬量
・予定排出事業場の名称及び所在地
・運搬車両毎の用途や、業務を行う曜日・時間
・従業員数
・環境保全措置の概要など
4.車両・収集運搬施設
収集運搬施設とは、運搬車両・運搬容器・駐車場などのことです。
自動車検査証や施設使用承諾書などの提出によって収集運搬施設があることを証明します。
その他、駐車上の平面図や見取図などの図面に加え、運搬車両や施設のカラー写真なども必要です。
欠格事由に該当しない
欠格事由とは、適正な事業が運営できないと判断する要件を表したものです。
欠格事由に該当した場合、産業廃棄物収集運搬業許可の取得は認められません。
また、許可の取得後に欠格事由に該当してしまった場合は、許可が取り消されますので注意が必要です。
具体的には、
・成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ない者
・禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・産業廃棄物収集運搬業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
・法人で暴力団員などがその事業活動を支配するものなど
5.申請に必要な書類
- 許可申請書
- 事業計画の概要書
- 定款及び登記事項証明書
- 役員の住民票の写し及び登記事項証明書(後見登記)
- 講習会の終了証の写し
- 駐車場の平面図及び付近の見取図
- 運搬車両の写真、運搬容器等の写真
- 自動車検査証の写し
- 駐車場の土地の登記簿謄本(賃貸の場合は賃貸借契約書の写し)
- 直前3年間の各事業年度における貸借対照表、損益計算書、納税証明書など
ざっくり見ただけでも様々な書類を揃える必要があります。
提出した後も許可までに数か月かかります。
6.まとめ
許可を申請する際には、詳細な業務内容や施設の設備、準備期間などを考慮して、適切に手続きを進めることが重要です。
わからないことなどありましたら、お気軽にご相談ください。